南魚沼百年古民家・六つ季の家のお部屋・施設をご案内いたします。
玄関
玄関を入ると建築当時は屋内に冬越えの為の屋内生簀(いけす)があり、その生簀へ勾配を利用して湧き水を流し込むパイプが設置されていました。
当時の辻又には冬場の重要なタンパク源として鯉を食べる習慣があり、当初はこの生簀をコンクリートで固めて復元を試みました。
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しかし現在では生簀は保存庫にその役目を変え生簀に水が流されることはなくなっています。
またこの写真から分かるように、六つ季の家はコンクリートで現代式の「基礎」を作りました。(建築当時より70センチ建物全体を持ち上げました)
これは安全を優先したもので、建物全体を数メートル持ち上げてから基礎を作り、再度その基礎へ建物全体を下ろすという工事を施しました。
2004年(平成16年)に中越地域を襲ったM6.8の「中越地震」。震源地から近い辻又は大きな揺れに襲われ、住民は旧辻又小学校での避難生活を余儀なくされました。
不幸中の幸い。人的被害や家屋の倒壊などの甚大被害は免れた辻又ですが、六つ季の家の基礎工事の際に床下を観察すると大きな地割れがありました。
地震に強いとされている木造住宅でもやはり100年が経過している古民家です。建物の強度の確保の為にも基礎工事は必須でした。
建物の外観
外部からは見えませんが建物を取り囲む外板(杉板)の内部には土壁(塗り壁)があり、その土壁の内部は竹の骨組みがあります。
その土壁の内側はもう屋内となります。
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もう少し分かりやすく説明すると、竹を格子状に組んだものに土を塗りこんで壁を作り、その外側に杉板を貼っただけの壁で室内と室外が区切られているだけの外壁構造です。
屋内からは見えている土壁はこれになります。
当然「断熱材」などはありませんので(たとえ土壁が多少厚めに作られていても)現代の家屋のように暑さや寒さ、騒音などから屋内を遮ることはあまりできません。
冬は寒く夏は暑いです。田んぼに水を張るころは蛙の鳴声がやかましく感じるかもしれません(笑)。
外壁の杉板は使えるものはそのまま使い、使えないものは新しい杉板に張り替えました。約半分の杉板は使えましたが、長年雪にさらされていた半分の杉板は使えませんでした。
六つ季の家の外壁の色がバラバラで斑(まだら)なのはそのためです。
一階玄関奥(エントランス)
玄関から室内に入ると土間三和土(たたき)となり、ここから室内へ入ります。
玄関から靴を脱いで入ったこのスペースは、建設当時は土間で「馬屋(うまや・まや)」だったそうです。農耕馬を飼うスペースでした。
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現在はお手洗い、流し場、そして二階への階段(階段箪笥)となっており、また展示スペースとして活用したりして生まれ変わりました。
写真にある階段箪笥はお隣町の塩沢町の旧家より譲っていただいたもので、箪笥としての役割と階段としての役割の両方を今でも担っています。
手すりなどがありませんのでくれぐれもお気をつけて・・・。
流し台はお隣の後山(うしろやま)集落の民家の倉庫から発見された古いものを頂いて設置しました。
建築当時の馬屋の壁はそのまま残してあり、また天井には二階から馬屋へ飼料を落し入れる為の大きな穴がそのまま残っています。
レトロな鏡や展示用の古い家具などとともに当時の雰囲気が感じられる空間です。ゆっくり観察してみてくださいね。
お手洗い
六つ季の家の中ではお手洗いとお風呂は(例外的に)現代式のものにリニューアルしてあります。
女性やお子様でも清潔に安心してお使いいただけます。
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リニューアルされたお手洗いとお風呂の壁や柱の一部は建築当時そのままの部分もあり、なんともちぐはぐなコラージュ感にちょっと落ち着かないかもしれません(笑)。
囲炉裏(大)のお部屋
一階の奥には大きな囲炉裏があります。
土間から続く囲炉裏部屋は元々囲炉裏のあった二つの部屋を一つの大きな土間空間とし、そこに大囲炉裏を作り直しました。
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10~15名ほどの宴会ができるスペースとなっております。
囲炉裏の天井から吊ってある鉄棒は自在鉤(じざいかぎ)と呼ばれ、鉤に吊った鍋や薬缶などと囲炉裏の火との距離を「自由自在に」変えられる道具です。
自在鉤の上部には「火棚(火だな)」と呼ばれるいわば整流版が設置されており、六つ季の家の火棚は古い大八車の車輪を流用してあります。
またこの囲炉裏部屋の奥には新設した現代式のキッチンがあり、貸し切りパーティなどの際に自由に使っていただけるよう調理具などが一式そろっています。仲間内の宴会や、合宿、長期滞在などの際はご相談下さい。
板の間
囲炉裏部屋の隣、板の間にも小さな囲炉裏があります。
少人数で囲炉裏を囲んでひと時を過ごす。賑やかな宴会もいいですが、ゆっくりとした時間を楽しむなら小さな囲炉裏がいいかもしれません。
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吹き抜けとなっている板の間からは茅葺の屋根の内側を見ることもでき、煤(スス)で黒くなった柱や梁、引き戸や土壁などを見ているとこの家の当時の様子が想像できるようです。
あえて塗りなおしたり磨き上げたりせず「そのまま」の状態を残しました。歴代のこの家の住人たちの生活やその時代に思いを馳せてみてください・・・。
囲炉裏(小)
板の間の小さな囲炉裏は元の場所に建築当時そのままの姿を完璧に復元しました。
この小さな囲炉裏に吊ってある自在鉤は「寿」と「扇子」が組み合わされた大変縁起の良いデザインのもので、これもお隣の後山(うしろやま)集落の民家から譲り受けた当時物です。
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「寿」と「扇子」のパーツの微妙な角度の変化と摩擦抵抗により鉄棒の長さを自由自在に変化させて火力を調整する自在鉤の仕組みは単純ながらとても知恵の利いた道具です。
一階客間
板の間の奥には客間が二部屋あります。
冬場には畳を敷いてありますが、夏場には取り外すこともあります。宿泊もできる仕様にしてあります。
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見上げた土壁はかなり煤で黒くなったり、剥がれ落ちてボロだったり。また塗りなおした壁の跡が雑でどう見ても「客間」のレベルからは遠いかもしれませんがご愛嬌(笑)。
生活の場であったこの家のありのままのリアルをお楽しみ下さい!
お風呂
お風呂場は湯船と洗い場は現代式のものにリニューアルしてあります。
脱衣所には懐かしいレトロな鏡と流し台があります。
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脱衣所の床は辻又集落の130年前の古民家より譲り受けた床板を使用してあります。
壁板はリニューアルしてあるので清潔に安心してお使いいただけます。
茅葺(かやぶき)の屋根
六つ季の家では茅葺(かやぶき)屋根を屋内からじっくり見ることができます。
囲炉裏の煤(スス)で燻され黒光りする茅。ところどころ色の濃淡があることに100年前の建築当時から何年かに一度少しずつ補修したことがうかがえます。
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改修工事の際、室内に足場を組み数週間に渡ってすべて手仕事で骨組みの木材を一本一本磨き上げ、また茅に付着した煤や埃をエアガンで吹いて大清掃しました。
100年分の煤(スス)を掃除する際には防塵衣と業務用の防塵マスクを使用し、送風機で室外に細かな埃を出しながらの難作業でした。
その際に茅や柱、梁のあちらこちらからおびただしい数の(鼠が運んだと思われる)蚕の繭が発見されました。
辻又では一時養蚕がさかんにおこなわれ冬の収入源とされていた歴史を屋根裏から見つけることができたエピソードです。
また茅葺屋根の一番てっぺん中心部からは建設主の名前や竣工日、棟梁の名前などが記されたお札と草鞋(わらじ)もみつかりました。
草鞋(わらじ)には諸説ありますが、正確な理由はわかっておりません。謎めいたエピソードで建築主の強い想いと時の重みを感じました。
二階部分
当時は冬場の農作業場であり農機具などの倉庫、また貯蔵庫などとしても用いられていた二階部分。また同時に養蚕(ようさん)の為の大切な場でもありました。
土壁は建設当時からそのままの状態をそのまま残してあり、ところどころ内部の竹が露出したり土が剥げ落ちたりしていますが、むしろその経年変化による渋い表情を観察してみて下さい。
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二階からは茅葺の屋根を間近から見ることができ、また一階の板の間や囲炉裏を見下ろせますので、古民家の雰囲気を一番感じられるカフェスペースとして活用しています。
またこの二階の空間をさまざまな用途に活用できるよう、ユーザーのみなさまからのアイディアもいただけたら幸いです!